私がホームページの制作会社として起業したのは2005年、22歳、大学4年生の頃でした。
まだ学生で、やりたいことを片っ端からやっていた時期でした。(今もですが)
そんな時、ご縁があってある会社から「起業セミナー」の講師のご依頼をいただきました。
それがいまから11年前、2006年のことです。
その際の担当者の方が独立するにあたり、なんと、その時の私のことを思い出してホームページの制作の相談をしてくださったのです。
講演の内容がわかりやすかったからだとおっしゃっていました。
11年前、22~23歳の私が、そんなに記憶にとどめていただけるようなことを話せていたとは!
どんなことを話していたのだろう・・・
起業から今まで、講演はたくさんしていますが、もちろん過去の資料は全て手元に残っています。
恐る恐る開いてみました。
「結構いいこと言ってる!!!」
10年以上前のことなので、今の時代とは合わないこともありますので、今の自分の考えと対比してご紹介します。
11年前の私「いくら良い商品を作っても、それを買ってくれる人がいなければ意味がない。お客様やお客様候補がいれば、その人たちが欲しがるものをつくればいい。」
つくり手がいいと思うものを作る「プロダクトアウト」ではなく、お客様が欲しがるもの、売れそうなものを作る「マーケットイン」がいいよと言っているのですね。
これは、テーマが「小規模に起業する」というものだったのでこういう結論で伝えました。
ただ、作り手がいいと思うものを作る「プロダクトアウト」が駄目だとは全然思いません。
自分がいいと思う、こだわりの商品を作るというのは、すごく特徴的なものができると思いますし、もしかしたら大ヒット商品になるかもしれません。
「iPhone」とか、「パソコン」とか、その時の世の中の人が絶対に想像できないようなものは、消費者の声を聞いても作れません。
しかし、なかなかに資金力が必要なのではないかと思いましたので、小規模起業には向いていないと考えました。
ただ、当時から10年後の今は、商品を作ること自体に時間やお金をかけないで済みます。
物をつくるにしても3Dプリンタがありますし、海外に発注するハードルも高くありません。
物ではなくサービスなら、商品を制作すること自体が不要です。案内書だけでOK。
インターネットの発展で、広告宣伝ついても気軽に安価に行えます。
このような状況では、作り手がいいと思うこだわりの商品を作って、世の中に出してみて、売れなければ改善or撤退ということが簡単にできます。
なので、最初のきっかけが「私がいいと思う商品をつくりたい」ということでもいいんじゃないかな。
それが売れなければ、その商品を改善すればいい。
その時は、将来のお客様にしたい人(いわゆるターゲット)に話を聞いたりしたら、改善の近道になるのではないかと思います。
11年前の私「とにかくお客様がいれば何とかなる。起業した後に一番大切なのは、どうやって集客するか。」
これについては、今でも同じ考えですが、ちょっと追加したいことがあります。
今だったら、こんな感じで伝えたいです。
「とにかくお客様がいれば何とかなる。起業した後に一番大切なのは、どうやって集客するか。そして、集まったお客様とどのくらい長く付き合えるか。」
集客するのは大事だけど、新規のお客様を集めるのは結構大変です。
お互いに初対面ですし、緊張もします。
まだ信頼が薄いので、少し警戒されているかもしれません。
そのようなハードルを突破して、自社と取引してくれているお客様はとっても大事です。
私は自分と付き合ってくれているお客様のことが大好きで、どうしたらお役にたてるかな~と普段から考えてます。
この気持ちが伝わっているからか、別の理由からか分かりませんが、一度取引が始まると、5年、10年という長いお付き合いになります。
お付き合いの長いお客様に対しては、新しい商品・サービスの提案がしやすいです。
その人が困っていることを解決する提案をすればいい。
そのためには、その人が何に困っているかを知るために、いろいろと話を聞く必要があると思います。
その話の中で「その困ったことを解決するために、〇〇という方法でお手伝いできそうですが、興味ありますか?」とか聞いて、興味があると言ってくれれば商品を紹介すればいい。
何度か自社の商品・サービスを買ってくれている人なら、その人の性格や好みについてもわかっていますし、一度自社から買ってくれているわけなので、きっと自社(自分)のことを気に入ってくれているはず。
その人のためになる提案ができれば、買ってくれる可能性は結構高いと思います。
こんな感じで、新規のお客様集めと、集まったお客様との長いお付き合いを実現できれば、ビジネスは継続性のあるものになるんじゃないかなと思います。
11年前の私「ホームページで、お客様や見込み客に有益な情報を余すことなく提供し、お客様や見込み客との信頼を確立していく。ただの会社案内だけでは、ダメ。ホームページには会社の心をのせる。」
これについては、今でも同じ考えです。
もちろん、「名刺にURLを載せるから、ホームページには会社の概要が載っていればOK。当面更新もしない。パンフレットがわりにしたい」というお客様もいらっしゃいます。
その時は企業情報以外の情報提供は不要だと思います。
しかし、大半のお客様はホームページを使って集客をしたいと考えているわけで、その場合は、数あるライバル会社の中から自社を選んでもらうためには、以下のような段階を踏む必要があると思います。
- インターネットの中で見つけてもらう
- 見たHPにお客様の必要な情報が載っている
- 会社を気に入って、信頼してもらう
- 問い合わせにつながる
「お客様や見込み客に有益な情報を余すことなく提供し、お客様や見込み客との信頼を確立していく」
ことで、上のすべての段階に効果があります。
1の、「インターネットの中で見つけてもらう」とためには、GoogleやYahooの検索エンジンで検索したときに、上位に表示させる必要があります。
いわゆるSEO(検索エンジン最適化)ですね。
(広告を使う手もありますが、それは別の話なので省きます)
Yahooは現在Googleの検索エンジンシステムを使っているので、Googleを主軸にお話ししますが、Googleの考え方は「ユーザーに役立つ情報を上位表示させる」です。
この方針に沿って、「ユニーク(個性的)で、他にない、ユーザーに役に立つ情報を載せたホームページをつくる」ことにより、検索エンジンでの上位表示を実現できます。
「お客様や見込み客に有益な情報を余すことなく提供」することで、検索エンジンでの上位表示が達成できると思います。
2、3、4については、やっぱり、HPに満足できる情報が載っていて、親切に書いてある会社については信頼を寄せますし、問い合わせしたくなりますよね。
11年前の私「ホームページの持つ役割は、お客様や見込み客とのコミュニケーション。文章作成には社長自身が必ず関わるべき」
「小さい会社のブランディングとは、社長自身を売り込むこと。キーワードは<どうせ買うならこの会社で>」
こちらについても、今でも同じ考えです。(小規模起業が前提ですが)
社員数名以下の小さな会社の場合は、やっぱり社長が会社の顔です。
社長の人柄が、文章に現れると思いますし、HP、パンフレット、社長が普段言っていること、すべてに一貫性があったほうが信頼につながると思います。
商品自体にそこまで差がない場合もよくあると思います。
そういう時は、商品自体の魅力というよりも、会社(=小さい会社の場合は社長)のことを気に入っているかどうかが購入の判断につながると思います。
もちろん、商品自体が差別化されているほうがいいと思いますが、
「今はここしか売ってないからここで買っているけど、なんだか気に入らない会社だ」
と思われていたら、別の会社がその商品を売り始めたらそっちに行ってしまいます。
商品力を磨くことはもちろん、自社のことを好きになってもらえるようにいろいろ工夫するといいと思います。
ちなみに私は、私に合う人とお付き合いしたいので、きちんと人柄を出すようにしています。
例えば、私はかなり率直にものをいうタイプなのですが、だれが相手でもそのスタンスは崩れません。
なので、過去には喧嘩別れしたお客様が2社ほど・・・。
でも、それはそれでいいと思っています。